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インタビュー

特定非営利活動法人 視覚障害者パソコンアシストネットワーク(通称SPAN) 理事長 様の写真

ICT活用の強力バックアップで
視覚障害者の就労に光を灯す

特定非営利活動法人 視覚障害者パソコンアシストネットワーク(通称SPAN) 理事長北神 あきら 様

今では一般企業で働く視覚障害者の数も少しずつ増えてきました。要因として最も大きいのがパソコンです。見えにくい人は画面の拡大や白黒反転をして、また見えない人はスクリーンリーダー(音声読み上げソフト)を駆使して仕事ができるようになりました。

 

長年にわたって、社会にこうした土壌を築き上げてきた中心的存在とも言えるのが、特定非営利活動法人 視覚障害者パソコンアシストネットワークSPAN(以下、SPANと称する)です。

 

SPAN設立から将来のことまで、理事長の北神あきら様にじっくりお話を伺いました。

設立の経緯と事業内容

Q.どのような経緯でSPANを立ち上げられたのでしょうか?

設立は1999年、今年で22年目です。私は設立段階からいたわけではなくて、最初は別の視覚障害の方と賛同者が中心になって始められました。当時は視覚障害者がパソコンを学ぶ場がとても少なかったので、それを作ろうと立ち上げたのがSPANです。私は出来上がりかけたぐらいから参加した感じです。

 

Q.活動の歴史や主な事業内容について教えてください。

設立からしばらくしてパソコンの指導者養成講座を行いました。これは経済産業省系列の財団から委託されたもので、北海道から沖縄まで40数回実施しました。このときに全国のいろんな団体とネットワークができたのは良い経験です。

 

そうした経験を経て、東日本大震災のあとの2012年ぐらいから就労支援に力を入れるようになりました。2013年からは東京しごと財団の在職者訓練を受託、2019年からはジョブコーチの支援も開始。これらは現在も継続しています。

 

Q.在職者訓練とジョブコーチの違いについて教えていただけますか?

在職者訓練が職業訓練なのに対し、ジョブコーチはどちらかと言うと職場に出向いて支援するのが主体になります。たとえば弱視の人だとオフィスの照明によって見やすさが変わったりするのでその調整をしてもらったり、デスクを入り口からアクセスしやすい場所に変えてもらうなど、職場環境を含めての支援ですね。他にも仕事の切り出しなんかも提案しています。上司の方にヒアリングをして、この仕事なら音声で作業ができるのではないでしょうか?といった感じに。ですので、職業訓練とジョブコーチは車の両輪かなと思っています。

 

Q.職業訓練は当事者のスキルアップ、ジョブコーチは働く環境づくりの支援という側面があるんですね。

ジョブコーチは当事者の方もそうですが、職場の上司や同僚の方、あるいは人事関係の方に提案や相談をします。完全に中立なんです。一方的に障害者に合わせてください、ではなくて、障害者も会社も互いに妥協点を探りながら落としどころを見つけていきます。だから企業の方には必ず最初にお話します。「あくまで中立です。同じ距離で支援しますよ」と。

 

Q.幅広い活動をされているんですね。他にはどうでしょうか?

あとは有料の講習をしたり、去年からは無償の遠隔サポートもしています。職業訓練の仕組みは、以前よりよくなってはいるものの、まだまだ支援を受けられない人が多いんです。地理的な面や制度的な面でのハードル、さらにはそれらをクリアしても職場の協力が得られないケースもあります。在職者訓練はウィークデーに行うので、勤務時間内での受講を職場に承認してもらわなければなりません。それをダメと言われるとスキルアップも難しくなります。

 

そうした方のために寄付金を募集して、ひとり10時間までで10名の方に無償遠隔支援をしました。現在も来年に向けて寄付を募集しており、おそらく目標額には到達しそうな状況なので、少なくともこれまでと同じレベルでは支援ができそうです。

 

Q.無償支援があっても有料講習を希望される方もおられますか?

無償の遠隔サポートは10時間の制限があります。特定の困りごとを解決することはできても、それだけでグンとスキルアップする、というところまではいきません。やはりまとまった時間でじっくり講習を受けていただくのとは違います。

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